百姓と農民は別モノ

海民と日本社会

海民と日本社会

小学校から高校までの日本史で刷り込まれた「百姓=農民」という概念がこの本を読んで、面白いほど崩れていった。実際、江戸時代の士農工商身分制度の人員構成比率には疑問があったし。主に以下の点。

  1. 地方の商人、手工業者は町人に属するのか。
  2. 漁業、林業、鉱業はどうなるのか。
  3. 普通に考えても総人口の8割が全員米作ってるなんて信じられない。

海民*1の存在を通してこの疑問は解決していった。海民は漁業の他にも製塩、水運など海に関わる仕事全般をこなしている他に、その利益を元手に金融までやってるんだから、こんな「海の総合商社」と言うような人々を「農民」にするのはどう考えても苦しい。*2
つまり、上記の疑問はこんな結論に達した訳です。

  1. 地方の商人、手工業者は農民扱いだった。
  2. 漁業、林業、鉱業に従事していても農民。
  3. 上の2つからも分かる通り、総人口の8割が全員米作ってるどころか、全部農業に従事している訳ではなかった。

しかし、海民の研究って農業の研究に比べると全然進んでない。柳田国男がサンカ研究を断念したように*3、海民にも何らかのタブーがあるような気がしてならない。

*1:地域によって呼び方は異なる

*2:村に住んでいれば登記上は農民という扱いだった

*3:http://drhnakai.hp.infoseek.co.jp/sub1-23.html