百姓と農民は別モノ
- 作者: 網野善彦
- 出版社/メーカー: 新人物往来社
- 発売日: 1998/09
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
小学校から高校までの日本史で刷り込まれた「百姓=農民」という概念がこの本を読んで、面白いほど崩れていった。実際、江戸時代の士農工商の身分制度の人員構成比率には疑問があったし。主に以下の点。
- 地方の商人、手工業者は町人に属するのか。
- 漁業、林業、鉱業はどうなるのか。
- 普通に考えても総人口の8割が全員米作ってるなんて信じられない。
海民*1の存在を通してこの疑問は解決していった。海民は漁業の他にも製塩、水運など海に関わる仕事全般をこなしている他に、その利益を元手に金融までやってるんだから、こんな「海の総合商社」と言うような人々を「農民」にするのはどう考えても苦しい。*2
つまり、上記の疑問はこんな結論に達した訳です。
- 地方の商人、手工業者は農民扱いだった。
- 漁業、林業、鉱業に従事していても農民。
- 上の2つからも分かる通り、総人口の8割が全員米作ってるどころか、全部農業に従事している訳ではなかった。
しかし、海民の研究って農業の研究に比べると全然進んでない。柳田国男がサンカ研究を断念したように*3、海民にも何らかのタブーがあるような気がしてならない。